相続人が遺産を相続するときに相続財産を責任の限度として相続することです。
つまり、相続する借金などが、相続する財産よりも多い(債務超過)時には、亡くなったひとから承継する相続財産の限度で、亡くなったひとの借金などの支払いをするという、限度付きの相続のことです。
限定承認をする場合には、以下の条件が必要となります。
◆ 相続人となった人全員が共同で申し立てをすること
○ 相続人が複数いる場合には、相続人の中から家庭裁判所が財産管理人を
選任します。
◆ 相続開始を知った日から3ヶ月以内に「限定承認の申述審判申立書」を家庭裁判所に
提出すること
◆ 申し立て後、5日以内の公示
○相続債権者(相続財産に対して債権を持つ人)や受遺者(遺贈を受け取る予定の人)
に対して5日以内に、「2ヶ月以内に借金などの請求を申し出てください」と官報に
公示しなければいけません。
◆ 相続人が知っている相続債権者や受遺者に対して個別の催告
◆ 譲渡益相当額の所得税課税が課されること
○限定承認を選択した場合には、不動産などの値上がり益が精算されると考えるため、
譲渡益相当額の所得税課税がされます。
◆ 債務超過をしているかどうかはっきりしない場合
◆ 家業を継いでいくような場合に、相続財産の範囲内であれば借金などを引き継いで
良いと思える場合
◆ 債権の目処がたって、返済が可能な場合
◆ 借金などを加味しても、どうしても相続したい相続財産があるような場合
まとめると、
・相続放棄⇒財産も借金なども何もかもが一切相続しないという方法
・限定承認⇒相続を受けた人が、相続財産から亡くなった人の借金などを精算して、
財産が余ればそれを引き継ぐという方法
ということができます。
いずれにしても、相続が発生した早い段階から、相続人の確認、相続財産の確認を調査して、相続しても良いものなのか判断できる状態を作ることが重要です。
限定承認 | 相続放棄 | |
メリット |
・相続財産の範囲内のみで借金などを負えば足りる ・亡くなったひとが借金など債務超過の状況にある場合に、相続人は自己の固有の財産を保護できる |
・相続の効力が自己に及ばないようにすることができる。 ・相続人は自己の固有の財産を保護できる。 ・相続手続きを一切行わなくてよい。 |
デメリット |
・亡くなったひとから相続人への相続財産の時価による譲渡とみなされ値上がり益は譲渡所得として課税 ・手続が煩雑 |
・財産は一切相続できません。 |
適用 |
・相続財産が借金など債務超過の状況にあるか否か不明な場合 ・どうしても相続財産の中で必要なものがある場合 |
・相続財産が借金など債務超過の状況にあることが明らかな場合 |
申し立て | ・相続人全員が共同で申述 | ・各相続人単独でも可 |
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